じゃぁ、どういうところなのか聞いてもわからないかな?それとも、誰でもある程度どういう場所か知ってるんだろうか?
「嫁さんは日本人街の人か?」
おじさんが、私を見た。
よ、嫁……。
いや、だから違う。さっきも勘違いされたけど……。
赤ちゃん抱いてるからかな?
そりゃそうか。
赤ちゃん抱いてるのに、旦那以外の男性と食事とか想像しないもんね……。
どう答えたらいいんだろう。
この世界では黒目黒髪はけっこう珍しい。でも、いないわけじゃないし、日本人街出身ですといえば「なるほど」で終わる。
……まさか、聖女として召喚された人間だなんて思われることもない。
私は……聖女だということは隠して生きていきたい。っていうか、聖女だと知られるとどんな扱いを受けるのかわからないのに「私は聖女です」なんて言って回るなんてできるわけないよね。
ああ、それに、そもそも……私は、本当に「聖女」じゃない。「反逆の聖女」だ。
回復魔法的な物は使えない。
誰かを犠牲にする病傷転移魔法しか使えないのだ……。
聖女だと知られて「聖女様お助けください」って言われるのも嫌だけれど「聖女なのに、なぜ回復させてくれないんだ!」って言われるのはもっといや。
……お城ではうまく切り抜けられたけれど……。魔力が切れて死ぬ未来は全力で回避したい。
とすると、やっぱり、日本人街出身ってことにしておけば一番問題が少なそうだけど……。どんなところか尋ねられたら答えられない。
ってことは……。
とれる手段は2つ。
記憶喪失のふりをする。……あー、記憶喪失のふり……。ちょっと大変そうだよね。
んじゃ、もう一つの手段にしよう。
「父が、日本人街出身だったそうで……もう、両親とも亡くなってしまったので、詳しい話は今となっては聞けませんが……」
と、日本の両親の顔を思い浮かべて話をする。
両親がすでに亡くなってしまっているのは本当のこと。
……だから、私の表情は演技ではなく、ごく自然に両親を懐かしみ、ちょっと寂しい気持ちになったときの顔になったと思う。
◆
演技じゃない表情が出たことで、何一つ疑われずに信じてもらえたようだ。
「そうかい……両親は……だけど、こんなかわいい子供と旦那がいるんだ、幸せになれるさ!」
いや、だから、旦那じゃないですし、子供も……私の子じゃないですって。
「嫁さんは日本人街の人か?」
おじさんが、私を見た。
よ、嫁……。
いや、だから違う。さっきも勘違いされたけど……。
赤ちゃん抱いてるからかな?
そりゃそうか。
赤ちゃん抱いてるのに、旦那以外の男性と食事とか想像しないもんね……。
どう答えたらいいんだろう。
この世界では黒目黒髪はけっこう珍しい。でも、いないわけじゃないし、日本人街出身ですといえば「なるほど」で終わる。
……まさか、聖女として召喚された人間だなんて思われることもない。
私は……聖女だということは隠して生きていきたい。っていうか、聖女だと知られるとどんな扱いを受けるのかわからないのに「私は聖女です」なんて言って回るなんてできるわけないよね。
ああ、それに、そもそも……私は、本当に「聖女」じゃない。「反逆の聖女」だ。
回復魔法的な物は使えない。
誰かを犠牲にする病傷転移魔法しか使えないのだ……。
聖女だと知られて「聖女様お助けください」って言われるのも嫌だけれど「聖女なのに、なぜ回復させてくれないんだ!」って言われるのはもっといや。
……お城ではうまく切り抜けられたけれど……。魔力が切れて死ぬ未来は全力で回避したい。
とすると、やっぱり、日本人街出身ってことにしておけば一番問題が少なそうだけど……。どんなところか尋ねられたら答えられない。
ってことは……。
とれる手段は2つ。
記憶喪失のふりをする。……あー、記憶喪失のふり……。ちょっと大変そうだよね。
んじゃ、もう一つの手段にしよう。
「父が、日本人街出身だったそうで……もう、両親とも亡くなってしまったので、詳しい話は今となっては聞けませんが……」
と、日本の両親の顔を思い浮かべて話をする。
両親がすでに亡くなってしまっているのは本当のこと。
……だから、私の表情は演技ではなく、ごく自然に両親を懐かしみ、ちょっと寂しい気持ちになったときの顔になったと思う。
◆
演技じゃない表情が出たことで、何一つ疑われずに信じてもらえたようだ。
「そうかい……両親は……だけど、こんなかわいい子供と旦那がいるんだ、幸せになれるさ!」
いや、だから、旦那じゃないですし、子供も……私の子じゃないですって。


