反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 ちょうど、ブラウスの襟をワンピースの襟元から出すとかわいくなった。気がする……。
 うーん、ウエストマークがない、長袖のモスグリーンのワンピース……。なんだか、ずいぶん寂しい。
 ドアを開くと、廊下に白ちゃんと侍女さんが並んで立っていた。
 あ、そうだ。
「あの、エプロンください」
「え?」
 侍女さんが驚いた声を出し、白ちゃんを見る。
「ください」
 白ちゃんが侍女に頼むと、侍女さんは慌ててエプロンを外した。
 受け取ったエプロンを早速腰に巻く。
 あ、メイド服みたいなひらひらしたエプロンじゃないんですよ。
 腰から下しかないもので、ひらひらなし。後ろで紐をくくると紐がリボン状になってちょっとかわいいけど、私はカフェスタイル。
 紐を後ろじゃなくて、くるりと前まで持ってきて、小さく結び目を作り、残りの紐はぐぐと入れ込む。
 よし。ウエストマークもされるし、やっぱり、こう、エプロンすると落ち着く……職業病かしらね?

「ありがとう」
 城の門まで白ちゃんに送ってもらう。
 城の敷地を歩いていても、白装束……白魔導士様と一緒ってことで、ノーチェックなんだよね。もし、一人でうろうろしてたら「誰だお前は!」とか言われたかもしれない。助かった。何も考えずに王の間を飛び出したけど、白ちゃんがいてくれて本当によかった。
「あの、聖女様……」
 街の方向を教えてもらい立ち去ろうとしたとき、白ちゃんが声をかけてきた。
「えーっと、その呼び方はしないでくれる?頼子。私の名前は頼子。じゃ、えーっと、ばいばい、白ちゃん。ありがとうね!」
 何を言うつもりだったのか知らないけど、今度は呼び止められないように、手を振って小走りで街に向かって駆けだした。


 街は、城の中で想像していたとおりの、中世ヨーロッパ風の街だ。
 石畳が敷かれ、大通りには2階建ての木と漆喰で作られた建物が並んでいる。石造りの家が少なくて、木で作ってあるってことは、緑が豊かな国なのかな。街の向こう側には青々とした山が確かに見える。
 そういえば、春色だとか秋色だとか言っていたくらいだから、四季もはっきりしているのだろう。……冬と夏は厳しくないといいけど。
 さてと。
 何をしましょうかね?
 とりあえず、この世界を救うにはどうすればいいのかな?