反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 能力を表示してぼんやり浮かんだ情報には「聖女」とあったのに。ステータスには「反逆の聖女」と表示されていた。
 心までステータスには反映されるのか。
 私は、聖女にはならない。
 誰かに都合のいいように利用なんてされない。されたくない。それくらいなら……。

 そう、死も覚悟して逆らってみたんだよねぇ。
 はー。死ななくてよかった。
 白ちゃんに城の出口に案内されながら、召喚された直後のことを思い出していた。
 白ちゃんのおかげで、生き残れたといっても過言じゃないかも。あの時、ステータス確認しておいてよかった。
 ……というか、まぁ、ステータスは自分で見つけたんだけど。この世界の能力確認以上の情報が載っている……。
 そう、HPとかMPも。
 はったりが通じたのも、この世界の人間にはMPやもしかするとレベルの概念もないのかもしれない。
 ……鞭を打たれて、私につくはずの傷が移転するたびに、病傷移転魔法が発動していた。
 私の目に映っているステータス画面のMPが減っていた。
 きっと、MPが0になったら使えなくなっていたと思う。
 つまり、もし、牢屋とかに入れられ、ずっと鞭を振られ続けていたら、MPなくなって、鞭で傷つくようになって……死ぬこともある。
 私は不死身みたいなはったりが通じて良かった……。
 しかし、いつか不死身じゃないとばれないこともないから……。ここで安心して暮らすためには……。
 やっぱりあれだよね。
 レベルを上げる。なんか、レベルって項目があったんだから、上がるはずだ。
 ゲームや小説の世界のようであれば、レベルが上がればMPやHPも上昇するはずだ。
 ……しかし、どうすればレベルって上がるのかなぁ?魔法を使いまくる?モンスターをやっつける?そもそもモンスターなんているの?
 うーん。わからないことだらけだよ。
「ねぇ、白ちゃん」
「え?あ、はい。あれ?なぜ、あの時の僕だとわかったんですか?白魔導士は皆同じ服装をしているのに……」
 白ちゃんが慌てた様子を見せる。
「もしかして、あの、おいしかったの知らないうちにこぼしてシミにでも……」
 と、白装束を確認してる。
 ぷっ。
「これ、入れる鞄か何か欲しいんだけど。あと、目立たない服もあれば……」