「聖女様、大変失礼をいたしました。ご不快でるというのであれば、我々は部屋を出ますが、一人はドアの外に控えておりますので何かございましたらおよびください」
……私も、君たちの名前とかわからなくて、勝手に心のなかでAとかBとか白ちゃんとか呼んでるけど……。君たちは、なぜ私を「聖女」と呼ぶのか。
AとBが出ていくと白ちゃんと私の二人が部屋に残された。
「立ったままというのもあれなんで、座ります?」
と、白ちゃんに声をかけると、白ちゃんがおとなしく石の床……石といっても、ごつごつしたそれではなくて、大理石の床というより、つるりと加工した墓石のような表面の床だ。
ぺたりと白ちゃんと私は向かい合って座った。
「あーっと、いただきます」
「はいどうぞ」
頭にすっぽりかぶった布を少したくし上げて、口元を出してコーヒーを飲む白ちゃん。
口元、髭生えてない。皺深くない。声は男の人のようだから、つるっとした口元からすると、若いようだ。とはいえ、ろうそくの明かりでは肌の色艶まではわからないし、よく見ると細かい皺だったり、髭そりあとだったり結構すごいことになってるのかもしれないけど。
「ふあー、おいしいですね」
白ちゃんの飾り気のない感想に思わずニンマリする。
「ありがとうございます。よろしければお代わりありますよ?」
と、ガラスを揺らすと、中のコーヒーがゆらりと揺れる。
コーヒーサーバには3杯分のコーヒーが入っていたのだ。あと2杯分ある。
◆
「あの、でも僕ばかりいただくのは……と、カップがなかったんですよね……」
白ちゃんがきょろきょろとあたりを見回す。見回してもないでしょう。
「あ、そうだ。お水よ出てこい」
え?
白ちゃんの指先が少し青白く光ったと思うと、水が出てきた。
何、それ……。
カップの中に水を灌ぐと、回すようにカップをゆすいで水を捨てた。いや、水が消えた。
「はい。これできれいになりましたので、どうぞ使ってください」
と、ニコニコと私にカップを差し出す白ちゃん。いや、待って、ニコニコというのは幻影なんだけど、相変わらず白いマスクで顔見えないので……声の調子で勝手にそう判断したんだけど、って、それはそうとして……。
「ま、魔法?」
魔法って、ああ……。この魔法陣っぽいものは、本物の魔法陣?
……私も、君たちの名前とかわからなくて、勝手に心のなかでAとかBとか白ちゃんとか呼んでるけど……。君たちは、なぜ私を「聖女」と呼ぶのか。
AとBが出ていくと白ちゃんと私の二人が部屋に残された。
「立ったままというのもあれなんで、座ります?」
と、白ちゃんに声をかけると、白ちゃんがおとなしく石の床……石といっても、ごつごつしたそれではなくて、大理石の床というより、つるりと加工した墓石のような表面の床だ。
ぺたりと白ちゃんと私は向かい合って座った。
「あーっと、いただきます」
「はいどうぞ」
頭にすっぽりかぶった布を少したくし上げて、口元を出してコーヒーを飲む白ちゃん。
口元、髭生えてない。皺深くない。声は男の人のようだから、つるっとした口元からすると、若いようだ。とはいえ、ろうそくの明かりでは肌の色艶まではわからないし、よく見ると細かい皺だったり、髭そりあとだったり結構すごいことになってるのかもしれないけど。
「ふあー、おいしいですね」
白ちゃんの飾り気のない感想に思わずニンマリする。
「ありがとうございます。よろしければお代わりありますよ?」
と、ガラスを揺らすと、中のコーヒーがゆらりと揺れる。
コーヒーサーバには3杯分のコーヒーが入っていたのだ。あと2杯分ある。
◆
「あの、でも僕ばかりいただくのは……と、カップがなかったんですよね……」
白ちゃんがきょろきょろとあたりを見回す。見回してもないでしょう。
「あ、そうだ。お水よ出てこい」
え?
白ちゃんの指先が少し青白く光ったと思うと、水が出てきた。
何、それ……。
カップの中に水を灌ぐと、回すようにカップをゆすいで水を捨てた。いや、水が消えた。
「はい。これできれいになりましたので、どうぞ使ってください」
と、ニコニコと私にカップを差し出す白ちゃん。いや、待って、ニコニコというのは幻影なんだけど、相変わらず白いマスクで顔見えないので……声の調子で勝手にそう判断したんだけど、って、それはそうとして……。
「ま、魔法?」
魔法って、ああ……。この魔法陣っぽいものは、本物の魔法陣?


