反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 深々と頭を下げる。
「今度、何かお礼を持ってきます!」
「ふ、ふふ、いいってことよ。困ったときはお互いさまって言ったろ。それに、新しい布が手に入るんだ。しかも、私が一番に選んでいいんだろう?こちらがお礼を言いたいくらいだよ」
 ハルヤさんが明るい笑顔を見せた。
 いい人。こちらが気に病まないようにしてくれてるんだ。
「そうだね、明日には少しは集まってると思うよ。店に来る客にも声をかけておくからね」
「ありがとうございます!」
 もう一度深く頭を下げてマチルダさんの元に戻る。
 ああそうだ。マチルダさんにもヨリトにおっぱいもらってるお礼をしないと。……お礼は、でも明日集まったオムツを渡した方が嬉しいかな。日本でも出産祝いにオムツケーキとか送ったりするもんね。オムツもらうと嬉しいは、世界共通。いや、異世界でも共通?
 お昼ご飯を食べて、戻ると、ドアのまえに白ちゃんが白魔導士の格好をして立っていた。
 ……しまった。中身も注目を浴びるけれど、白魔導士の姿はより注目を浴びている。壁の外で待ち合わせにすればよかった。まぁいいや。
 とりあえず、兵に話をしてさっさと外にでる。
 白ちゃんは私の後ろをちゃんとついてきてくれた。
 ドアが閉まれば壁の外に目はない。
「それで、一体僕は何をすれば?」
 歩きながら白ちゃんと打ち合わせ。あ、地面にも注意払わないと……。
 白ちゃんがつんのめった。
 ……うん、中身が誰かと入れ替わってる心配はこれでありませんね。まぁ、声で分かりますが、声以上に動きが白ちゃんだ。

「えっと、白魔導士の言うことなら信じるというか強制力があるんだよね。だから、院長先生を1か月交代してほしいの」
「は?え?誰と交代を?」
「私が、孤児院の運営したいから、私を代理の院長に……と言いたいところなんだけど、突然ポッと出てきた私が院長とか怪しいので、白ちゃんが院長をするということで。実質運営は私がするから」
 白ちゃんの顔がこちらに向いた。
 マスクの下の顔にはきっと疑問符が浮いているのだろう。
「新しいことを孤児院で始めたいのだけど、院長先生の許可が下りないので。強引に進めさせてもらおうと思って。目標は2週間で軌道に乗せる。結果を見せれば、院長先生だって認めざるを得ないと思うから……」
 ちょうど門の前にたどり着いた。紐を引いて鈴を鳴らすのは3回目だ。