反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 白魔導士長なんているんだ。そりゃそうか。複数の団体組織になれば、責任者的立場の人がおかれるものだもんね。白魔導士が偉い人ってことはさ、白魔導士長ってもっと偉い人だよね。そんな偉い人が孤児院に訪れてるんだ。……あの現状も知ってるってことだよね。知っていても、もっと予算を増やしてあげてくれとかそういうことを言わないなら、冷たい人なのかな。それとも、予算を上げてやっとあの状態ってこと?

 白ちゃんが言うには、孤児院出身者の有能さは評価されてるってことだよね。てことは、孤児を養うための場所というよりは、将来有能な人間を教育する学校的な側面もあるわけで。そうであれば、もっと予算を出してもいいような気がするんだけど。
 うーん。
 ……国王の顔を思い出す。
 その後ろに立っていた、豚と狐を思い出す。
 ああ、あのメンツじゃぁ……「今の予算でも何とかなってるんだから、これ以上出す必要はない。無駄だ」とか言いそうだ。
 くぅぅ。想像で腹が立ってきた。
 見てなさいっ!予算なんて初期投資さえしちゃえば全然いらないくらい、あの子たちがずっとお腹いっぱい食べられる仕組みを作ってみせるんだからっ!
 ぐっとこぶしを握りこむ。
「ふえぇぇ」
 ヨリトが泣き出した。白ちゃんが泣きそうな顔をしてこちらを見る。
「泣かせてしまいました!ああ、どうしたらっ」
「うん、そろそろお腹がすいたかな。じゃあ白ちゃん、お昼ご飯を食べたらまたここに集合。次に来るときは、白魔導士の服装してきて」
「え?あ、はい。分かりました」
 白ちゃんがきょとんとしている。
 決めた。ちょっと強引にことを進める。
 マチルダさんのところへ行き、ヨリトのご飯をお願いする。少し見ていてもらう間に、布屋へ飛び込み、適当に布を買い込む。
 その布を持って、世話好きのハルヤさんの家に。確かご主人が作る雑貨などを売っている店だと言っていた。
 あった。
 店には、思った以上に雑多な品が並んでいるが、その多くが金属を加工したものだ。鍋や鉄のクワ。それから見てもよくわからない品もいろいろと並んでいる。
「ハルヤさんにお願いがあるんです」
「おや、ヨリコだったかな。お願いってなんだい?」
「この布と、オムツや、オムツに加工できそうな布を交換してほしいんです」