反逆の聖女は癒さない~赤ちゃん育てるのに忙しいので~

 何もできないかもしれないけれど、何もしようとしなければ……考えることすら放棄したら、父さんに顔向けできないよね。
 オムツ縫いながら考えよう。手を動かしながら考えればいい。
 ん?
 あれ?
「あ!リュートさん、オムツ!」
「え?あ、はい」
 突然大きな声を出した私に、リュートさんが慌てておむつを手渡してくれた。
「違う、そうじゃなくてっ!」
「ごめん、間違った?あー、分かった、俺が替えるよ。気が付かなくてごめん」
 リュートさんが慌てて立ち上がった。
「あ、そうか、リュートさんに替えてもらうこともできたんでした。いえ、そうじゃなくて、オムツの洗濯って大変だと思いませんか?」
「ああ」
 と、水を張った桶に入れた使用済みおむつをリュートさんが見た。

「そうだな、夜なら洗濯場には誰もいないだろうし」
 と、桶を持って部屋を出て行こうとする。
「違う、違うんです、そうじゃなくて、いえ、気持ちはありがとうございます」
 夜中にオムツを洗いに行けなんてタイプに見えます?私……。ああ、でも、背に腹は代えられなくて夜中にオムツを洗う人はいるかもしれない。
 うん、きっと、それくらい布おむつは大変だし、家で洗えないのも大変だし……。
「オムツ屋を、孤児院でオムツ屋を始めたらどうでしょうか!」
 リュートさんが首をかしげる。
「オムツは手縫いですが、特別な技術がいるような縫い方をしていませんし、きっとマナーや文字を教えるように裁縫も教えてると思うんです。だったら、オムツを縫ってもらったらどうでしょう」
 リュートさんがウンと頷く。
「それはいいかもしれない。だが、それほどの需要が……あるとは思えない」
 そうですよね。紙おむつのように使い捨てじゃないし、お古を使いまわすんだから。それに材料の布が高いんだから、オムツだって安くは出来上がらない。それほど売れるものじゃないだろう。
 初めの材料になる布は、初期投資。オムツは売り物にするんじゃない。