犬奴隷に懐かれました~伝説級?そんなことよりもふもふしてもいいですか?~

 だけれど、私のわがままで一緒にいてなんて言えないですよね。バーヌはどうも、立派な冒険者だから……。
 私の護衛のようなそんなちゃちな依頼を受けるような人じゃないはずで……。
 だから、お別れなんだって思ったら、すごく悲しくて。
 いるの、いらないのって言われたら、いるに決まってます!必要なんですっ!一人にされたくないんです!だけど、だけど……。
 そんな言葉でバーヌを縛り付けちゃいけないんです。命の恩人だからと、バーヌは私がそばにいてほしいと言えばいてくれるかもしれません。
 だけれど、きっと、ずっと奴隷として自由を奪われていたバーヌの自由をこれ以上うばちっちゃ駄目だと思うんです。
 だから、言えない言葉を尋ねられて、逆切れに近い返事をしてしまいました。
「ご主人様……」
 叱られたのかと思ったのか、バーヌがきゅっと尻尾を丸める。
 あ、丸めることもあるんだと、ちょっぴり新しい面を知ることができて……。こんな時だけれど、いいえ、こんな時だから……。
 手が伸びました。
 ああ、我慢がききませんでした。
 もふ。
 そっと頭をなでると、バーヌが頭を下げました。とてももふりやすい場所に頭が……。かわいい耳が突き出た頭が。
 ううううううううっ、自制心って、自制心って、なんでしたっけ?
 もふ、もふもふもふっ。
 おまけに、頭に顔引っ付けてくんか、くんか。
 う、臭い。
 そういえば、奴隷生活んときは、お風呂とか無理なんですよね。っていうか、この世界お風呂は一般的じゃないので、私も時々井戸の水とかで頭洗ったり、宿でお湯をいただいて体をふいたりしてるだけで……。
 臭いけど、なんか、バーヌの匂いもちょっとするような気がします。あ、耳だ。耳だけ新しく生えてきたからなのか汚れてないので臭くないです。
 くんか。くんか。
 うう、でもやっぱり、臭い!
 臭いにおいが勝っちゃう。
 ぼえーっ。
 もふもふ欲が、匂いに負けました。
 両手を離します。
「懸賞金とかもらえたら、バーヌの服を買おう、たっぷりお湯使って体も洗おう。そうだ、石鹸とかもどっかに売ってないかな」
 バーヌの顔がぴかっと輝きました。
「僕の服?あの、ご主人様が買ってくださるんでにゅdyshd」
「バーヌ、その前に奴隷ギルド行って、バーヌはもう奴隷じゃなくなるの」
 バーヌがにこっと嬉しそうに笑っている。