私がこんなこと考えるなんて



自分でも驚きだけど

 

そう、思ったの。



その萌のつぶやきに



「は?」



アラタが言った。




「もっと、オトコの子の友だち



作ってみようかな?」



口に出すと、すごくいい気がして



何かできる気がして、



萌はもう一回言った。



そしたら、もっと慣れて



アラタくんたちにもめんどくさい思い




させなくて…




アラタくんにも、もっと…



「何で?」



ちょっと尖ったようかアラタくんの声。



え?



「だって、そしたら



…もっと楽しいかなって」



そんな萌の言葉に



「何それ…。



萌には無理なんじゃね」




ムッ。



何でそんなこと言うの。



そりゃ、難しいかもだけど…



「できるかもしれないじゃん。



考えたら、学校になら

 

ちょっと話すひとくらいしるし。



勉強一緒にしたこともあるし…



本の話題とかなら、話し合いそう…」



その人は委員会で一緒だっただけで、



一回研究テーマのレポートが同じ班だっただけ




だけど。



でも、考えたらほんとにあのひとなら



話しかけれそう…。




アラタくんが言ってくれたみたいに、



また紅葉たちとみんなで



「遊ぶのとか誘ってみたりしたら…」




萌が考えながら喋っていると



「無理だろ」



取り合わないみたいなアラタくんの言葉。



何で?何か…



アラタくんだから、




後押ししてくれたりするかも



と思ったのに…



ちょっと不機嫌そうに歩くアラタの手に



萌の手が当たった。



あっ。って



すぐに引っ込めようとした萌。



なのにアラタくんの手のひらが



萌の手を包んだ。



えっ。



一瞬で心臓が大きな音立てて



なに?どうしたらいいの?



何て、ひとりでパニくる萌。



チラって、アラタくん見るけど。



アラタくんはそのまま



前見たまま歩いてる。




普通どおり…




「必要ないじゃん」



アラタくんが言った。



え?



「おれだけでいいじゃん」




アラタくんがそんな風に言うから…




萌は 『うん』 って言いたくなる。



けど



アラタくん。



だからだよ



こんな風に



アラタくんにとって、何でもないこと




わたしは、何でもなくないから。



ドキドキしすぎて



どうしていいか、わからなくて



勝手に…



アラタくんのこと




すごく意識しちゃうの。



『ただのともだちなのに、



やっぱり萌はダメだな』って



アラタくんに嫌われたくないんだもん。




「アラタくんは、いっぱいいるじゃん。



…必要なくないよ。



何でダメなの?」



萌が言うと



「何でって…」



立ち止まって萌を見たアラタくんが




はぁーって大きなため息ついた。



「…心配だからに決まってるだろ」



心配?



「…?大丈夫だよ?



何か…アラタくんのおかげかな。



キライじゃないとは絶対


言えないけど。



何か…



自分の悪いとこも見えて。




男子も友だちなら…遊ぶの楽しいって



わかったし。



私ももうちょっと、頑張らないといけないって」




何とか、自分の気持ちを伝えようとする前に




「……っっ」



アラタは何度も何かをいいかけて



「保留!」



そう言った。