「何で…?」



アラタの耳に萌のつぶやくような声が



聞こえた。



「は?」



問いかけるアラタに



「何で、他の子は



普通に着てる制服、



わたしが着てたら…



ダメなの?



何で、わたしだけ



そんな風に言われないといけないの?




チカンにあうのも、



お客さんに胸に、何かかけられても



ここで、働いている



…私が悪いの?



何で、私だけ…」



萌の心のなかの言葉が



そのまま



あふれるように、萌の口から



こぼれる。



何でよ。



何で、いつもわたしだけ。




胸が大きいから、悪いの?




悔しくて、泣きたくなんかないのに




ばかみたいなのに。



…負けたくないのに



くちびる噛んでも



全然、涙がとめられなかった。



「何で、私ばっかり…」



ポン。



後ろから肩を軽く叩かれた。



振り返ると店長が立ってる。



「板垣さん。



もういいから



こっち来て。



君、クビ」