ママがバイトは、駅前じゃないとしちゃ



ダメだって。




夜遅くなると危ないから



時間も8時までしかダメだって言われて。



駅前で、時間が合って



入れるとこ。



ここしか無かったんだもん。



昨日ママとケンカしたのだって



このバイトのことで、



一回許してくれたくせに




やっぱり萌は危ないからって



言い出して…。



ママが心配してくれてるのはわかるけど



みんなが普通にしてること…。



それくらい大丈夫だし!



時間も場所も気をつけて、




やっと、バイトできるようになったのに。



そう思って、



売り言葉に買い言葉で…



こんな名前つけたくせに!



って。



『萌』なんて、名前のせいで



余計からかわれて…



こんな名前大嫌いだって



言っちゃった…。



でも、ママも



『萌はバイトなんて



続かなくて、どうせすぐ辞める』



なんて、言ったし。



結局



そのまま、ママとは口聞いてなくて。



…絶対、大丈夫だもん。



そう思って



今日、意気込んで来たのに。



行きがけの電車では痴漢にあうし。



さっき…



さっきの大学生?



の客はサイアクだった…。




この店に来たときから、酔ってたみたいで



ふざけて



わたしの制服のシャツに、



シャツの胸元に。



マヨネーズかけられた。



『ドピュ。あ、ごめん出ちゃった』



そんなこと言われて…




笑われて。




サイアク。サイアク。サイテー。



気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。



オトコなんて



オトコなんて



オトコなんて、大っ嫌い。



替えの制服に着替えてたら、



店長には




『何やってんだって』いうみたいに



ため息つかれた。



何で?



私が、悪いの?



もう、泣きそう。



ママに、私だって



みんなと同じ、バイトくらいできるって



言ったのに。



すぐ辞めるって、言われて



辞めないし!って



言い切ったのに…



もう、泣きたい…。




心ん中で



暴れてるいろんな感情が



勝手に萌の涙腺を押してくる。