駅までの道から少し降りたとこにある
屋根のあるバス停のベンチ。
奏が立ち止まる。
バスの来る時間とずれているのか
誰もいなくて
どこからか、セミの鳴き声が聞こえる。
何で、
奏ちゃんと2人っきり。
「んーと、
勘違いすんなよ。」
そんな言葉を切り出す奏。
紅葉はドギマギしてしまう。
何よ。こわいっ。
勘違い?
これ以上
どんな言葉吐く気?
下を向いて
顔を見ようとしない紅葉に
「おい」
奏が言うけど
紅葉はやっぱりこわくて
顔上げられないよ。
奏の声に、
顔をあげない紅葉に
奏が
初めて
「紅葉?」って言った。
覗き込むように、
紅葉の名前呼ぶから
思わず奏を見た紅葉。