「この女、何言ってんの。



あのな、健全な17歳の男子高生が



そんな乳が揺れてて



エロい目で見てなかったら



病気だろ。



何をガキみてえに」



萌を見て、



「ほんと。



めんどくせぇな。」



(そう)とかいうオトコが言ってのける。




みんな、口開いちゃって



唖然とした顔。



紅葉(くれは)もびっくりして



ポカン。



えええ?って



ムカつく前にほんと、




びっくりしたけど



いやいやいや。



「ちょ、ちょっと!



あんた、こっち来なさいよ。」



我に帰った紅葉が



奏をみんなから離れた場所へ



引っ張っていく。



今日は萌が



すっごい楽しみにしてたのに!



ほんとは



紅葉は、若業のオトコとなんて



何が楽しくて、遊ばないといけないの



って思ってた。



だいたい、萌。



何でそんな信用しちゃってんの?



ほんとに、何で?



大丈夫?って



心配で



だから



ほんとに、萌が言うみたいに



いい子なのか。




アラタとかいうオトコをちゃんと



見極めるっていうか…



見破るっていうか…



そんなつもりで来たの。



頭から否定できなかったのは




萌がアラタくんと出会ってから



あまりにも、嬉しそうだから。




あんなに、『オトコなんてっ!』



そう言ってた萌が



嬉しそうだから。



…そう思って来たんだけど。



正直、



たぶん



最初のバスケしてるところで…




不覚にも、やられてしまった。




だって、




イメージと違うんだもん。




すっごい全力で



楽しそうで…



なんなの?



無邪気感がすごかった。



犬?



ワンコが、集まってボール遊びしているの?



じゃれ具合がすごいんですけど、



萌が言うのわかるくらい




仲良いの見てて、わかるし



ワンコ動画に脳内変換してしまって



…笑えるくらい。



それくらい



見てて、楽しかった。



バスケ。



見てるだけでも、楽しかったけど。



身体動かすの好きだから



自分もやりたいって思ってたら



普通に仲間入りさせてくれるし、



なんか、女の子だけで遊ぶと



こんな真剣に運動するとか



ほんとの〝遊ぶ〝ってなくて、




ほんとに



楽しい!




って、思ってしまった。



多分萌も同じ。



運動大好きな子だから。



オトコとオンナとか



胸おっきいとか、遊び人とか



バカ業とかも



なーんも関係なく



〝トモダチ〝みたいな感じで



遊べて…



楽しくて…



なのに、このオトコ。



みんなから少し離れた自販機の横




引っ張られて連れてこられた奏。



「信じらんない。



あんな、言い方しなくてもいいでしょ?」



怒って言う紅葉。



「…でも、その通りだろ?」



悪びれもしない奏。



冷静で、しらーっとしたこの表情!



「正しいとしても…



っ言い方とか!



言わなくていいこともあるでしょ!」




怒り心頭の紅葉に



「お前も正しいって思っちゃってんじゃん。」



フッって、笑う奏。



なにをーっ。その笑いもムカつく。



「オトコだったら、見ちゃうだろ。


あれは。


大体、あんたも



何?」



「え?」



突然聞かれて、聞き返す紅葉。



「おれら、若業と



〝トモダチ〝になりたいわけ?」



コイツ。この前の根に持ってるな。



そう思いながらも紅葉は



「わたしはただ…



萌が。



萌が、あんたたちの話。



全部わたしに話すから、



すっごい仲間思いで、



面白くて、いいひとばっかりみたいって。



すごい話すから…」



正直なとこ、全然信用できてなかった



紅葉も



今日すごく……。




「萌はあの見た目のせいで



女の子からも結構、勝手なこと言われる



こと多くて。



そういう女の子特有のドロドロしたのにも



苦労してて、



だから裏表とかのない



あんたたちみたいなのに



憧れたんだよ。」



「萌だって、ある程度



そんなことは…わかってると思うよ。



男の子は、そういうもんだって。



でも、今日、ほんと楽しかったから。



つい、はしゃぎ過ぎて



それで、そんな時に



すごい注目されて、恥ずかしくなった



だけなんだから!




あんな風に…言うことなかったじゃん!」



所々自分でも



よくわかんないこと、言ってしまった。



自分の中でまとまってない言葉。



そのまま伝えちゃって



、ちゃんと伝わるわけないよね。



でも、萌のそういう気持ち



わかってあげて欲しい。



紅葉が、そう思ったとき



「ふーん。



お前がトモダチ思いなのは、わかった。」



奏が言った。



え。トモダチ思い?



何か、いま



わたし、褒められた?



でも、



「おれは女と友だちなんか



はなから、無理だけどね」



何て、言ってくる。



「はあ?


話が、底から変わってくるじゃん。」



つい、ケンカ口調に戻る紅葉。



「だって、例えば



コウタたちと海行っても



オモロイだけだけど。



お前が水着でいたら、



絶対ムラムラするもん。」



奏は平然と言うから!



な、何を言うの!?



「ムラムラとか、言うのやめてよ。」



紅葉が言っても



「全然ムラムラしないとか、



言っておいて



ほんとはしてるのと



正直に言うのどっちが(せい)だよ」



いやいや


知らないわよ!そんなこと!



紅葉はそう思いながら



「でも、でも



あんたの友だちは、

 

アラタくんは」



紅葉が何とか反論しようとするけど、



「あいつは



ただ、



ウルトラ頑張って



無理してるに決まってるだろ」



バッサリと、切り捨てる奏。




‥…。



ちょうど、奏たちのもとへ向かってた



萌たち。



アラタが膝から崩れ落ちる。



奏がぁ、



おれの血の滲む努力を



一瞬で



バラバラにしてるー。



「アラタ。ドンマイっ。」



コウタがウインクして言う。



ちらりと、萌ちゃんに視線を向けると…



…あはは。って



眉毛を下げた笑い顔の頬が赤い。



あー。萌ちゃんがそんな



申し訳なさそうな顔なんて




しなくていいのに



おれこそ



何か…



ごめん。みたいな。