やらかした。やらかした。






その日。アラタは機嫌が悪かった。



ツレのかずきがオンナに振られた。



かずきにとって初カノで



かずきは



すごい彼女を大事にしてた。



おれらからは、やりすぎじゃね?



って



尻に敷かれすぎだろ。



って、からかわれるくらい



めっちゃ大事にしてた。



呼ばれれば飛んでったし、



何とか記念があるって



プレゼント買うために



バイトしたりして。



その彼女が



浮気してた。



『最近何か、おかしいとは



勘付いてたけど。



浮気なんて…。




何でだよ。』



そう問い詰めたかずきに



逆ギレで、



彼女は言い放ったそうだ。



『大体若業なんて、本気で相手に



するわけないじゃん。』




『若業と付き合ってるなんて



恥ずかしくて言えなかった』なんて。



そりゃ。おれら、バカ業だけどよ?



知ってて、




付き合ったんじゃねえのかよ。



あんだけ、大切にしたかずきを



浮気に気持ちやられてるかずきを



最後にそこまで、傷つける必要があったのかよ。



『しゃあねえな。』って



無理して



かずきが笑うから。



『そんな悪い子じゃないんだよ。』



なんて、まだ



かずきが心もってかれてるから



なんでか、おれが叫んでやりたい気分で



割り切れない思いに



つっぷした顔もあげられない。



おれが凹んでどうすんだよ。



そんなおれの耳に



聞こえてきたのは



『だから、バカ業は』って



言われ慣れている



ディスった言葉。



それに柄にもなく、キレちゃって。



相手の弱そうなとこ




攻撃してる自分がいた。



そう気づいた時には、その子の涙は




もう、こぼれてて。



あー、おれは最低で。



マジ、やらかしてる。



売り言葉に買い言葉的な感じで



あんな、ポロポロ。ポロポロ。



泣きたくなんかない。って顔して



泣かれたら



すげえ…


罪悪感。



しかも、クビって。マジかよー。



きつい。



おれに出来ることなんか…



あるか…?



とりあえず、罵声覚悟で



謝り倒すしかないよな。




あ。



裏口からあの子が出てきた。




えっと…イタガキ、さんだっけ。




うわ。



目腫れてる。





とりあえず…




ごめんっっ。