カラン。
喫茶店のドアが開いた。
いつもの店。
右手のカウンターでは、何やら
2人でラテアートしてる？
イチャイチャしすぎ
アラタと萌ちゃん。
左手のコの字型のソファでは、
ふんぞりかえっている奏。
その横には何か奏に一生懸命話している
紅葉ちゃん。
ん？
奏の尖らせた口と、紅葉ちゃんの表情
見る限り…
あ、奏がソファに正座しだした笑
また、怒られている。
おおかた、
またどっかでケンカしたのが
バレたな。
入ってきたコウタに気づいた萌ちゃんが
「あ、コウタくん」
手を振ってくれる。
「おー、コウタ」
助かったとばかり、コウタの方に
来ようとする奏。
そんなみんながコウタの背後に、
気づいて一瞬止まる。
コウタが後ろを一回振り返って
みんなに向き直る。
「こっち、洋子ちゃん」
コウタが手を向けたのは
ふんわりカールのかかった薄茶色のロングヘア。
体にピッタリとした
黒と白の縞なんだけど、
単純なストライプなんかではなく、
構築されたみたいな高そうなスーツ。
足元には、これまた
高いヒール。
そのせいで高い背がますます高い。
バサって音しそうなまつ毛に縁取られた瞳
真っ赤なくちびる。
えーと、総じると
どこかの女社長？！
コウタ？
洋子ちゃんって？
どちら様？
「彼女」
ちょっと照れたようなおれの言葉に
ザワっ。空気が変わる。
