「アラタくんが、スキ」



なんて



萌がそんな顔して



言うから。




「…萌、



わかって言ってる?」



オトコともだちのおれ…とかじゃないよな?




夢見てるみたいな





熱のこもった表情の萌。




いや、夢見てるのはおれか?



だって、信じられねえよ。




「萌…おれ



オトコだよ。



そのへんのやつと変わんないよ?




おれだって



普通に、萌のこと



その、エロい目とかでみるし



萌が思ってるような…」



チラ。って



萌を見る。



萌の顔が赤らんでる。




うーわー。ほんとはおれだって




こんなこと




バカ正気に言いたくねぇよ。





けど…




萌に




「わたしオトコのひと、嫌い。



まだ、オトコは大っ嫌いだよ。




…さっきのも、ほんと




気持ち悪いし」



ハッキリ言ってのける萌。



…萌ーっっ。



やっぱ、そうくる?



泣きそうになるわ。



「だけど…」



少しためらった萌が



覚悟を決めたように



アラタを見て



言った。




「アラタくんが



その、そういうエロい気持ちになるの

 

わたしだったら



いいのに。



他のひとじゃなくて…



わたしにそうなればいいのに。



わたしだけだったらいいのに。



って、そう思うの」



顔全体を赤くして




おれを見つめてそんなこと




たどたどしく言う萌。




言ったあとに




何も言わないアラタに




「ご、ごめんっ。




わたし、おかしなこと言ってるよね?




恥ずかしいっ。




バカみたいだよね」




そう泣きそうな顔する萌。



思わず



アラタの腕は




勝手に動いて




萌を自分の胸に抱きよせた。





「あ、アラタくん?」




俺の胸の中で




不安気な声出す萌に




すぐに言葉が出ないアラタ。




とりあえず、ギュ。




萌を抱きしめる。




たぶん、今おれ





シャレになんないくらい




真っ赤だ。




だって、萌が




すげえ…




すげえこというから



やべえ。




「…腰がくだけそう」




アラタが言った。




「え…?」



俺のアゴの下で、少しこもった




萌の疑問声。





「や、やっぱり



変な、こと言って




呆れた?」





まだ、わかってない萌に





アラタは言った。





「萌が



好きだよ」




気持ちが抑えらんなくて




萌にもっと近づきたいみたいに





もっと強く萌を



抱きしめてしまう。





「すっげえ。スキ」



「萌だけ。




萌だけだよ。




そんなすげえ、ココロつかまれること




言ってくれるのも、




もう、やべえぐらいの




こんな気持ちになるのも」





顔見られるの、恥ずいけど。




やっぱ、萌のかお…




見たい。



腕のチカラを抜いて




萌の顔をのぞく




「萌。



おれの彼女になって」





涙がたまった萌の瞳。




出会ったときは





お互い睨みあってたのにな。





こんな大事なひとになるなんて





萌が気持ちがほどけたみたいに




瞳は涙でぬれているけど




笑顔になった。





やべえよ。





嬉しくて死にそうだ。