いつもは、電車内から


視線に入るだけの


駅のホーム。


帰宅時間と、重なっているのに



降りるひとの少ないこの駅は




閑散としている。



…。



で、



萌にキスされている、ナウ。




??



え?何?



何がどうなった?




確かおれ



今怒ってたよな?




クソジジイをマジで殺しそうなくらい




腹たって



萌にも怒っちゃって…



で、何で?



萌から急なキス。



って、え。




萌の柔らかいくちびるが開いた。




萌。



そんなキス。




萌のシャンプーみたいな



甘い匂いが少し鼻をかすめる。




アラタが見下ろす視線の先に




ギュって瞳をつむった萌が近い。




ときおり薄く開く




少しとろんとした瞳で




一生懸命キスして…

 

「ん。」



そんな萌は



いつの間にか、上向かされて



アラタからキスされている



萌の口から息がもれる。




って。危ねえ




思わずキスに夢中になって、




おれがしてたわ。




「も、萌?」



何とか、理性のチカラを振り絞り




まだ萌とくっついてたいおのれの欲を




我慢させて




萌から体を離した。