奏の告白に



まだ、信じられない紅葉が言う



「…


ほ、ほんとに?」



ほんとに?




いま、奏ちゃん、私を好きって



言ってくれた?




そんな紅葉に




奏ちゃんが気持ちをあらわすみたいに



力強く紅葉を抱き寄せた。




「すげえ、好きだから




…もう逃げないで」





息ができないくらい




紅葉を抱きしめる奏のその腕の中で




「そ、奏ちゃん。



わたし、奏ちゃんが好き」




紅葉のその言葉に




「ぜったい、俺の方が好きだわ」



耳元で奏ちゃんの声がした。




グスン。鼻をすすって、



「…もう、ゆかさんとも会わない?」



一応、紅葉が言ってみる。



奏が苦笑して



「何で知ってんだ。もしかして



それで、怒ってた?



だいぶ前から会ってねーし。」ボソっと言って、




「お前がおれのもんになるのに?



他のオンナになんて、感じねーよ」




……




ザワザワ野次馬の中で




「…ツレのラブシーンって



きつくない?



しかも



さすが奏。




独特な愛情表現」



背中にバックパックを背負った



純が、ポケットに手を突っ込んだまま



言った。



「あ、ムービー撮れば良かった。



でも、奏。あだ名。



明日から〝早漏ちゃん〝に決定じゃね」



純の言葉に




ムシャ。



おにぎりを食い終わった



コウタが言う。



「いいんじゃね。



めっちゃ、幸せそうだし」




「…だな。」




そうハモって



若業生の群れの中




2人だけの世界の奏と紅葉をみて



純とコウタは笑った。