そんな紅葉を見て




奏が言った。




「全部言えば?」




え?



周りのことなんか見えてないみたいに



紅葉を見つめている奏ちゃんが



言った。




「言いたいこと、



お前が思ってること、全部。



言えよ。



言わなきゃわかんねーよ!」



口調は相変わらずなのに



ていうか、キレてるのに。



聞いたことない奏ちゃんの



その声に



紅葉の胸は



キュウってしめつけられて、



苦しくなる。



  ドキドキドキ。




…奏ちゃんに




奏ちゃんに言いたいこと。




   




そんなの




そんなの



    こぼれてた涙のかわりに



    深呼吸した紅葉の唇から




…ひとつしかないの。


 
    紅葉は奏ちゃんを見つめて




「…すき。




わ、わたし、



すき。



奏ちゃんが、すき」



やっと口にできた紅葉のキモチ。