浜辺に出た。 以前のような眩い景色とはほど遠く、寂しげな寒々とした景色。 なのに、雪姫は惹かれるように海を見つめ続ける。 雪姫の瞳には俺が映っていない。 俺はもう雪姫の瞳に映らない。 そんな気がした。 「雪姫」 俺に気付いてほしい。 だから抱きしめた。 最後に足掻いた。 俺を見てほしい、と。