いつも私が一番乗りで誰もいない射場。 シンとした空気が好きだった。 ある日、知らない男の子が先に射ってた。 初めて見たその姿が綺麗で見惚れてた。 その姿を目に焼き付けたくて、そっと射場に滑り込み正座をした。 跪坐(きざ)からの流れるような立ち居振る舞い。 構える背中はあの頃よりも大きくて。 的を狙う横顔が気高く雄々しい。 すぐに歪む視界もそのままで、 ただ同じ空間にずっといたかった。 その背中をずっと見ていたかった。 でも、気付くと床板しか見てなかった。