数分して、幻のクリームあんぱんを手に入れた俺は、人混みからやっとのことで抜け出した。
「はぁ、疲れた」
人混みを抜けると、既に、買い終えたのか手に何個も幻のクリームあんぱんを抱えながら、ご満悦な様子の樹。
「おぉ、碧都!幻のクリームあんぱんは買えたか?!」
「………」
ご機嫌な樹とは反対に、俺は疲労が溜まっただけ。
そもそもコレ、俺まで買いに行く意味がなかった気がするんだけど…。
俺は、手に持った幻のクリームあんぱんを見て、ため息をつく。
突然、樹が廊下の奥を見て、大きな声を出す。
「あっ!七瀬さんがいる!」
「えっ?」
樹が見る方向に目を向ければ、星祈の姿がある。
あれは……
星祈と、桐葉?

