【完】溺愛したいのは、キミだけ。

そのままボールを持って去っていく男の子に翠くんが手を振る。


そしてまた、私の隣に腰掛けてきて。


「翠くん、すごいね! リフティングめちゃくちゃ上手! 私、すごすぎて見とれちゃった」


拍手しながら感激したように声を掛けたら、翠くんははにかんだようにこちらを見ながら言った。


「はは、マジで? いやー、日ごろの練習が役に立ったな」


……あれ?


だけどその時、翠くんの顔をよく見たら、額のあたりに少し砂が付いてしまっていることに気が付いて。


さっきリフティングした時についちゃったのかな。


「あっ、翠くん」


「ん?」


「頭に砂が付いてる」


そっと手を伸ばし、彼の額についた砂を払ってあげた。


その瞬間、ちょっと驚いたような顔をする翠くん。


そしたらなぜか、彼は片手で私の手首をキュッと掴んできて。


あれ、どうしよう。余計なお世話だったかな。


なんて思ってたら。


「ヒナに触られると、ドキドキすんだけど」


「……えっ!」


ど、ドキドキする?


「あ、ごめんねっ。急に」


とっさに謝ったら、翠くんはフッと優しく笑う。


「いいよ、もっと触って」


「えぇっ!」