【完】溺愛したいのは、キミだけ。

「おい翠ー」


そこで、誰かが翠くんの名前を呼ぶ声がして。


それに気づいた彼は、髪からパッと手を離すと、その手で私の頭をポンポンと撫でてきた。


「あ、じゃあまたな」


「うん」


はにかみながら手を振る。


嬉しい。ちょっと話せちゃった。


そしたらすぐ横からニヤニヤした顔の江奈ちゃんがひょっこり現れて、バシンと肩を叩いてきた。


「ちょっとちょっとー、何イチャついてんのー?」


「えっ!」


い、イチャついてる?


「今のはどう見てもイチャついてたでしょ。なんか雛乃、最近翠くんと仲いいよね~。すごいなー、あんなイケメンに気に入られるなんて」


「いやっ、そんなことないよっ……!」


「えーっ。あれは気に入られてるって~。絶対」


江奈ちゃんに冷やかされて、かぁっと顔が赤くなる。


気に入られてる? 私が?


「だって、翠くんってモテるし誰にでも愛想いいけど、あんま特定の女子と親しくしてるのって見たことないもん」


「そ、そうだっけ?」


「うん。だから、雛乃はなんか特別って感じがする」


特別……。