【完】溺愛したいのは、キミだけ。

「マナ、こっち向いてごらん?」


誘うような男の声に、嫌な予感がする。


「やだぁ、ユウくんたらぁ。待ってよ……んっ」


見たくなかったけど、チラッとそっちに目を向けたら、濃厚なキスを交わすカップルの姿がそこにあった。


うわ、そのまさかかよ。予感的中じゃねーか。


なんだよ、この気まずいシチュエーション。


向こうは俺らがいることに気づいてないんだろうけど、見つかったらさすがにヤバいよな。


なんかどっか、隠れるところ……。


そこで思いついた俺は、とっさにヒナの腕を引いて、すぐそばにあった教卓の中へと一緒に潜り込んだ。


「えっ?」


驚くヒナを股の間に抱えるようにして座り、うしろから片手でそっとヒナの口を抑える。


「シーッ。じっとしてて」


ヒナの耳元に顔を寄せ、小さな声で呟いたら、その瞬間ヒナの体がピクッと反応したのがわかった。


それにしても、あらためてよく考えたら、この体勢けっこうやべぇな。


なんかまるで、抱きしめてるみたいじゃん。


いつも以上にヒナとの距離が近くて、自分の心拍数がどんどん上がっていくのがわかる。