【完】溺愛したいのは、キミだけ。

「えっ、すげー美味い!」


「ほんと?」


「うん、お世辞抜きで超うまいよ。すごいじゃん、ヒナ」


「そ、そんなに?」


「うん。コレ、何個でもいけそう」


それを聞いて、嬉しそうに顔をほころばせる彼女。


「よかったぁ。うまくできてるか自信なかったんだけど、翠くんにそう言ってもらえて嬉しい」


「今度また作ってきてよ」


「うん、いいよ」


なんて、快くOKしてくれたけど、それって俺のために作ってきてくれんのかな。


ヒナはいつも素直にうなずいてくれるけど、それは俺が相手だからなのか、誰に対してもそうなのかなってちょっと考えてしまったりする。


ヒナはたぶん、誰にでも優しいんだろうし。


俺だけがヒナの特別でいたいと思うけど、そうなれてるのかどうかは、正直自信がない。


そのまま二人で昼飯を食べて、食べ終わった後もすぐ教室には戻らず、そこでしばらく二人で話していた。


せっかくヒナと二人きりになれたから、少しでも長く一緒にいたいし。


ヒナと一緒にいるとホッとするし、ものすごく癒される。


「五時間目ってなんだっけ?」


「えっとたしか、古文だったかな」


「うわ、また眠くなるやつじゃん。古文の飯島(いいじま)ってボソボソ喋るから超眠いんだよなー」