瑛士がいつものように誘ってくる。


昼はだいたいサッカー部の奴らと集まって一緒に食べてる俺。


でも、今日は先約があったので断ってしまった。


「あーごめん、俺、今日はパス。ちょっと約束してるから」


「え、そうなの? 誰と? あ、もしかして女か!?」


「んー、それは内緒」


俺がわざとらしくそう答えると、瑛士がムッと眉をひそめる。


「うわっ、なんだよそれ! 気になるじゃねぇかよ~。まぁいいや、そんじゃまたあとでな」


でもそこで、深入りしてこないのがこいつのいいところ。


手を振りながら去っていく瑛士に手を振り返し、そのままヒナの席まで向かった。


「ヒナ」


俺が呼びかけると、弁当の入ったバッグを片手に振り返る彼女。


クリッとした丸い瞳が俺のほうへとむけられる。


「あ、翠くん」


「お待たせ。いこっか」


「うん」