それじゃ琴梨は、あの時のど飴を渡した相手が俺だって知らないってことだよな。


結局あの日のことを覚えてたのは、ずっと気になってたのは、俺だけだったってことかよ。


まぁ、一年も前のことだし、覚えてなくても仕方ないのかもしんねーけど。


それどころか、俺の話が自分のことだって気づいてないから、他に好きな子がいるなんて勘違いしたみたいだったし。


勇気を出して誘った花火大会も、結局断られてしまった。


誤算もいいとこだ。


でも、琴梨はなぜか俺が好きな子がいるって話をしてから急に元気がなくなって、まるでショックを受けているかのようだった。


そして、最後に俺に言い放ったあの言葉。


『思わせぶりなことしないでっ。期待しちゃうからっ!』


期待するって、どういう意味なんだ?


もしかして、琴梨も少しは俺のことを意識してたってことなんだろうか。


俺の声だけじゃなくて、俺自身にも少しは興味を持ってくれてたんだろうか。


そうだったらいいけど……。