思わぬ提案をされ、ドキッとして目を見開く。


「そんなっ、悪いよ」


だけど、翠くんは遠慮する私をよそに、再びギュッと手を繋いできて。


「いいんだって。俺が送りたいから送るんだし。ほら、行こ。家どっち?」


「えっと……こ、こっち」


「りょーかい」


彼の大きな手に包まれて、再び心臓がドキドキとうるさくなる。


翠くんは、彼女でもない子とこんな簡単に手なんか繋いじゃって、なんとも思わないのかな。


慣れてるから平気なのかな。


でも、わざわざ私なんかのことを心配して送ってくれるなんて、やっぱり優しいんだなぁ……。


「っていうかさ、やっぱり前髪で顔隠さないほうがいいじゃん」


歩きながら、翠くんが話しかけてくる。


「それに、髪下ろしてたほうが絶対いいと思う」


「そ、そうかな……?」


「うん。涼川せっかく可愛いんだから、隠してたらもったいねぇよ」


「えぇっ!」


突然思いがけないことを言われて、ギョッとして目を見開いた。


可愛いって、ウソでしょ。


翠くん、口が上手すぎるよ。