【完】溺愛したいのは、キミだけ。

放課後、帰りの支度をすませて席を立つ。


「それじゃまたね、雛乃」


「うん、部活頑張ってね」


部活へと向かう江奈ちゃんに手を振って、自分も教室を出る。


すると、ちょうど廊下へと踏み出したところで、誰かにガシッと腕を掴まれた。


驚いて振り返ると、そこに立っていたのは翠くんで。


真顔で私をじっと見下ろしている。


「ちょっと話あるんだけど」


「えっ……?」


ど、どうしよう。なんだろう、話って。


不安に思いながらも、腕を引かれるまま彼についていく。


すると翠くんは、人のいない社会科準備室の中へ私を連れ込むと、ドアを閉めた。


無言のまま向かい合うと、なんとも言えない気まずい空気が流れる。


おそるおそる自分から口を開いた。


「は、話って……何?」


すると翠くん、少しムッとした表情のまま。


「やっぱヒナ、今日明らかに変だよな」


「えっ……。そんなこと、ないよ」


「じゃあなんで、俺と目合わせようとしないの?」


「……っ」


「今日ずっとそうだよな。俺、なんかしたっけ?」