【完】溺愛したいのは、キミだけ。

慌てて笑顔を作って返したら、翠くんはサラッとうなずいて。


「あー、うん。なんかすげー張り切ってくれてるっぽいんだよね。やたらと仕事熱心だし」


「そっかぁ……」


そんなふうに言われたら、少し胸がチクッと痛む。まるで春田さんのことをほめているみたいで。


翠くんは、彼女のことをどう思ってるんだろう。


あれだけわかりやすくアタックされても嫌がってる様子がないなんて、以前サッカー部の男子たちが言っていたように、まんざらでもないってことかな?


ますます気になって仕方がないよ。


でも、そんなこと私の口から聞けるわけがないし……。


すると翠くん、思いついたように顔を上げて。


「あ、そうだ。今日部活ないんだけど一緒に帰れる?」


「うん、帰れるよ」


「よかった。それじゃ、放課後下駄箱で待ってて」


いつものように誘われて、シュンとしていた気持ちが、また少し明るくなる。


さっきから上がったり下がったり、感情が忙しいなぁ、ほんとに。


翠くんが私の頭の手を乗せ、ポンポンと優しく撫でてくる。


こんなふうにされたら、やっぱり期待してしまいそうになるよ。


だけど、それもただのうぬぼれだったりするのかな……。