【完】溺愛したいのは、キミだけ。

「なんか今日、あっついな」


いつものように社会科準備室で翠くんとお昼を食べてから、二人で色々お喋りしていたら、翠くんが突然長袖のYシャツを腕まくりし始めた。


まくり上げた袖部分から、細いけど男らしい彼の腕が見えて、ちょっとドキッとする。


「たしかに、午後からあったかくなってきたね」


だけどその時、ふとあるものに気が付いて。


翠くんの左手首をよく見ると、水色とピンクの糸で作られた、ミサンガらしきものが巻かれている。


はじめて見た気がするけど、こんなの今までつけてたっけ?


「あ、それってもしかして、ミサンガ?」


気になって聞いてみたら、翠くんは自分の左手を見ながら答えた。


「あぁ、そうそう。これ、さっきうちの新人マネにもらってさ。今度の試合に勝てるようにって願掛けして部員全員分作ったからつけてほしいって言われたんだよ」


それを聞いて、思わず胸の奥がざわっとしてしまった私。


その新人マネって、もしかして……春田さん?


いや、そうだよね。彼女、最近入って来たばかりだって言ってたし、今日も翠くんに会いに教室に来てたのを見かけたし。


ってことは、春田さんの手作りなんだ……。


そう思うと少し複雑な気持ちになる。


「そ、そうなんだ。すごいね、全員分作るなんて。マメで熱心なマネージャーさんだね」