「私もカーライドさんが好き。王都で王子様と接して気づいた。王子様はお兄さんみたいだけれど、カーライドさんは違うってことに」

 私の言葉にカーライドさんは、緊張が抜けた穏やかな笑みを浮かべて言う。

 「それじゃあ、ハルナ。俺のお嫁さんになってくれますか?」

 私の顔を覗き込んでの問いに、私は微笑んで答えた。

 「はい。カーライドさんのお嫁さんにしてください」

 こうして異世界に来て、一年と少し。
 子ども達を育てる手助けをしつつ過ごす中で見つけた大切な人。
 彼も同じ思いを抱いてくれた、それってすごいことだと思う。
 まず、この世界に来なかったら出会わなかったし、自分に出来ることを頑張ってる間に支えてくれた、そんな人でもある。

 「あぁ、しあわせだな」

 そういって抱きしめてくれるカーライドさんの腕の中で、私は思う。

 それは、私こそだよって。

 

 結婚しても、お母さんになっても私はここで保育園を営みこの国の子育て事情の発展に寄与した。
 その隣にはいつまでも優しい笑みをたたえた夫といつでも子ども達に囲まれた私が居た。


 獣人の国アルアローザは、その後嵐にも負けないほどに発展し豊かになったという。
 その陰には落ち人ハルナの存在があったが、彼女は穏やかな暮らしを愛し、表舞台にはあまり立つことはなかったが、その知識と力と子ども達を愛する姿勢は国民みんなから愛されたという。