「ハルナ先生、私は何をしたらいい?」

 その問いに、私はあるお願いをした。

 「ニーナちゃんにはハルナ先生には出来ないことをお願いしたいんだ」

 そんな私の言葉にきょとんとした顔をするニーナちゃん。
 本当に可愛い。

 「あのね、ハルナ先生はあのタワーは登れないの。ニーナちゃんに登ってもらって大丈夫か確認をお願いしたいの。ハルナ先生はその下で待ってるし、危なかったら先生に飛んできてほしいんだ。受け止めるから」

 教室の一角にあるキャットタワー。
 ネコ科の職人さん仕上げたから大丈夫だと思うけれど、念のための確認と子ども達が実際に使う様子を見たいのでニーナちゃんにお願いしてみる。

 「え? 登って良いの? パパはダメっていうよ?」

 「大人がいないところでは危ないし、登っちゃダメな場所もあるからパパはダメって言ってたんだと思う。でもこれは、子どもが登って大丈夫なものなの。それでも心配だから、先生は下から見てるね」

 そう伝えると、ニーナちゃんは目をキラキラさせて前足を一段目に掛けるとその後はひょいひょいと上に登って行った。