「ん―っ!疲れたーっ」




決勝までまだまだ時間があるということで、凌と共に体育館へ移動中。

体育館では男子がバスケットをしているはずだ。




「おー、やってるやってる!」




体育館に着くと、凌は額に右手を当ててあたりを見渡す。

そして………




「あ!謙吾~、今どこ対どこ?」



「ん?来てくれたんだ!今は2組対5組。で、次決勝」




私たちににこっと笑顔を向けながら、目の前の試合を指差す堤くん。

はい、私、あの日以来一度も“謙吾くん”って呼べてないんです。

そんな自分に嫌気がさして、小さくため息をついた時、堤くんが何か思い出したかのように立ち上がった。




「佳世ちゃん!ちょっといい?」



「へ?」



「凌ちゃん、佳世ちゃん借りるね~」



「んー」




目の前の試合に夢中の凌は生返事。

いつもならダメって言ってくれるのに………!!

理由はわかるよ!!?2組は秀弥くんのクラスだし。

堤くんに手を引かれながらまたため息が出てしまった。