『最近さ、陽子は何かよく分からないけど、何人かの女子たちに睨まれるって言ってたじゃない?

それって佐藤さんの仲いい人たちだよね?』

『佐藤さんは、仕方ないんだから、いいって言ってるのに、周りが許せない!って、すごく怒ってるらしいよ』



『そっか、そういう事だったんだ』


これを聞いて、睨まれていた事が納得できた。

本当に何で隆君は、私より小柄でかわいらしい佐藤さんを振ってまで、私なんかを好きになったの?

私を好きになってくれる理由が、私には全く分からなかった。



私は教室へ戻り席に着いて、クラスの中を見回した。佐藤さんも同じクラスなのだ。



よくも同じクラスなのに隆君は大胆な事をしたものだ。

見回した先でたまたま佐藤さんと目が合ってしまった。

彼女は睨むこともせず、少し悲しい目で私を見ていた。


こんなに彼女を悲しませた、隆君に対して腹立たしい気持ちにもなった。


しかし、その原因は私だと思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。