続・電話のあなたは存じておりません!

「なにを言ったところで、あなたは愛人、二番手なの。私のお腹には彼の子供だっているんだから」

「こ、ども…」

 睨み付ける彼女を見ていられなくて、私は机上に目を落とした。

 夫婦、愛人、子供……と。彼女から一方的に告げられる単語を頭の中で繰り返した。

 子供、という事は。私と付き合う前に、或叶さんはこの人と関係を……?

 この人は或叶さんの元カノって事?

 ーー嫌だ、そんなの。考えたくもない。

 瑞穂さんは辛辣な目で私を見据えた。

「それにあなた、ちゃんとした《《彼氏》》がいるんでしょう? 前に会ったわ、日曜日だったかしら」

 ーーえ?

「来栖副社長……、素敵なひとね?」

 瑞穂さんは私から目をそらし、ふぅと息をついた。

 ーーえ、ちょっと待って。どういう事?

 ちょうどその時、彼女が頼んだコーヒーが二人分運ばれて来る。

 手前で湯気の上がるカップを見つめ、私は率直に思った事を尋ねた。

「あの……、いまいち話が見えないんですけど……?」

 瑞穂さんが言った《《彼》》とは一体誰の事なんだろう?

 或叶さんじゃない?

 気の強い彼女の反応が怖くもあったが、話の意図が分からない事には解決しない。

 やはり彼女は顔をしかめ、「は?」と言ったあと、冷ややかな視線で私を見た。