続・電話のあなたは存じておりません!

 和希の事だ、と思った。別に直接会わせた訳じゃ無いので、別れた事を知らせる必要はないかと思った。

 それに或叶さんも年上だし。

「ああ、はいはい。それはまた決まったらちゃんと報告するから。ちょっと二階に上がるね?」

 私は階段の先を指差し、かつての自室へと向かった。

 私の部屋はまだそのままの形で残されていた。時々母が掃除してくれているのか、部屋は清潔な状態を保っている。

「……えぇと、……あっ。あった!」

 教科書を立てた三段ボックスにピンクのノートを数冊見つけた。

 彼が教生として来た時期は正直覚えていなかったが、私が悩んでいたのは高二の一学期だ。

 置いたままのベッドに座り込み、日付けを便りにパラパラとページを捲る。

「……あっ」

 5月15日と書かれたページにその文章を見つけた。

《5月15日(水)

 今日は教育実習生が来た。何となく頼りなさそうな若い男の人だった。

 みんなその人が掛けた伊達メガネ(?)を見て、似合いすぎているからかメガちゃん先生と呼んでいた。

 名前はそんなんじゃなかったはずだけど、よく聞いてなかったから忘れた。