ナオフミさんと藤崎さんの奥様との関係はもう過去であることはわかっている
さっき彼女から直接話を聞かせてもらったし
でも、ナオフミさんは結婚した今でも、様々な人に注目される人
それも充分にわかっているけど
私の知らなかったことが彼の中だけにこれからもあるかもしれないと不安になってしまう
そんな自分が自分で嫌になる
グイッ!
「あ~やっぱりかわいいな~。レイナは。」
『ちょっと、ちょっと!!!!森村先生!!!!こんなところで!!!』
「お前も浮気すればいいじゃん!俺なら大歓迎!!!浮気から本気になってもいいぞ~。」
カウンセリングルーム近くの廊下で手を引かれ、ぎゅっと抱きしめられた。
肩周りがかっちりしている彼の抱きしめ方はこっちが潰れそうなぐらい激しくて。
『く、苦しい・・・・』
「あ~こういうの、久しぶりだなァ~。レイナが手のケガをして入院していた時以来だな~。」
『森村先生、おふざけも、これぐらいに・・・』
「ば~か。ふざけてなんかいないって!日詠さんが学生時代、ある時を境に、パタッと女と深く付き合わなくなったことを知っていてもな。」
『・・・え?』
一瞬、彼の腕の力が弱まった時に、重要なことを口にしているらしい彼の顔を見上げた。
彼は何か教えたそうにニヤリと笑っている。
「あ~やっぱりかわいい・・・俺、今から休憩だから、ハートブレイクしているレイナを食べちゃおうかな~。病室の片隅での・・・AV、リアルにやっちゃう?」
『それ、純平クンに取り上げられたヤツ・・アッ!!!!』
「なんでレイナ知ってるんだよ~、じゃあ、エッチしちゃう?・・・もうヤるしかないよな~よし、ヤるぞって!!!」
『キャッ!!!!』
森村先生の腕の中にいた私が、背後から肩を掴まれてあっという間に彼の腕の中から抜け出させられた。
それだけではなく、私の体は反転させられてまた腕の中に収まっている。
この腕の中は、私にとっていつも身近に感じているもの。