わたしの本当の王子様は、誰?







「真美、泣いていいんだよ」


あの日のように、大声で泣いてくれたらいいのに。

そしたら、すぐにでも気づいてあげられたのに。

真美の背中をさすってあげられたのに。


こんなにまだ深く傷つく前に、なにかできたかもしれないのに。



でも、そんなの言い訳。



いくらでも気づく要素なんてあった。


用事があるってすぐ帰るようになったこととか、暑いのに毎日長袖を着てくるところとか、海に遊びにいけないっていったこととか、浴衣を着てこなかったこととか。


それなのに深く聞かなかったのはわたし。


強がりをさせてしまったのはわたし。