「すまなかった。健人にも隠していて。いつかは話さなければいけないときがくるとは思っていたが、本音をいうと知らなければいいと思っていた」

「父さんたちも、なにもいわなかったのかよ」

「それはいったさ。いまからでも遅くはないんじゃないかって。でもあいつらは頑なに反対した。そりゃあ育ててきたし、愛情だってあったんだろうからな。これ以上俺たちが口をはさんだって、あいつらの意思は何も変わらないと思ったんだ」

「でも・・・そんなこと、普通はありえないだろ?」


子供の思いはどうする?

愛鳥や、桐生の思いは、どうする?

真実を知ってしまったら、悲しむのはその2人なのに。


今まで桐生なんて大嫌いだと思っていた。

でも、この話を聞いたらさすがに同情する。

あいつはもうすでに知っていたんだろうから。


きっとあいつはずっと孤独だったんだ。


そんな思いを知ってしまったら、あいつを責める気なんてなくなってしまった。