俺はこんなに寂しい思いをしたというのに。 両親がいて、幼なじみがいて、友達がいて。 そんな俺に余裕ぶって話しかけてきたのかと。 でも、違った。 あいつは、愛鳥は、まだ何も知らなかった。 隣にいる健人ってやつも。 こんなにも複雑で悲しい悲劇を、知らなかった。 あいつのことはすごくうざくて仕方なかったはずなのに、イライラして仕方なかったはずなのに、いつの間にかその感情が、薄れていた。 それはどうしてなのかわからない。 ただ俺の心はずっと乱れていた。