俺がはじめてその事実に気づいたのは、中学3年生のときだった。

なんてことはない。

久々に昔のアルバムがみたくなってそれでみつけたんだ。

ある1枚の写真を。



「なあ父さん、これなんだよ」


いつもは忙しい父さん。

父さんは会社のトップ、いわゆる社長。

だから家にいることなんて全然ない仕事人間。


俺はそんな父さんのことが大嫌いだった。

それに、俺にまで跡取りだといって昔から厳しかったから。


俺は英才教育をずっと受けてきた。


お手伝いさんがいて、専属の運転手がいて、秘書がいて。

お金持ちの世界でも、俺は全然嬉しくなかった。



でもそんな父さんが久々に家にいた。


もしかしたらこれは俺に気付けといっていた、神様からのサインだったのかもしれない。