苦しい言い訳に同調してくれて感謝だ。俺も合わせてうんうんと首を縦に振る。
咲花がばっと顔をあげ、唇を震わせながら言う。

「じゃ……じゃあ、お風呂上りでホカホカの咲花さんが、あ、温めてあげましょう」

ものすごく照れた顔で、今度は咲花から俺の胴に腕をまわしてくっついてきたのだ。
大サービスだ。俺はどくどくと心臓を高鳴らせながら、口調だけは何気ないふうを装う。

「ありがとう。咲花はあったかいな」
「でしょう、でしょう。佑も、お風呂入ってらっしゃいな」

俺はおずおずと咲花の背に腕をまわした。温かな咲花の身体。甘い香り。

「ああ、もう少ししたら」

咲花が俺を好きだなんて、まだ信じられない。傑が話を盛っているだけじゃないかとも思う。
だけど、俺自身はもう違う。
俺は、咲花が好きだ。とっくに妹の領分を超えて好きだ。

ほんの一分ほどだけれど、俺は咲花を腕の中に閉じこめて至福を味わっていた。
理性がもってくれたことに感謝だ。……しかし、今夜からそれとなく咲花とは距離を置いて寝た方がいいかもしれない。
好きな女と同じベッド。……これはちょっとした我慢比べになってしまいそうだ。