「ほら、新郎新婦、何ニヤニヤしてるんだよ」
「咲花さん、こっちです」

傑と里乃子さんに背を押され、私たちはバージンロードを祭壇まで歩いた。
愛を誓う姿を、傑と里乃子さんが見守ってくれた。四人で写真を撮っておしまい。
参列者ふたり、新郎新婦とお腹の赤ちゃんだけの、本当に小さな小さな結婚式だ。

「里乃子さんにブーケをあげたいんだけどいいかな」

傑と里乃子さんのカップルに百合のブーケを渡す。里乃子さんは涙ぐんで受け取ってくれた。

「兄貴、咲花幸せに」

傑の言葉に私は頷き、佑が私を後ろから抱き締めた。お腹を守るように手を添えて。
私と佑が入籍したのは翌日だった。

榛名咲花、これが私の新しい名前。
佑のお嫁さんで、赤ちゃんのママ。
絶対に佑と幸せになってみせる。そう心で誓った。