「おぉっと……。大丈夫? …って…あーー。君か〜。」

電車の中は激混み。

私が他の人に押されて倒れた先にいたのはよく知らない男の子。









…の、はずなんだけど。

「…君か〜ってなんですか。私を知ってるんですか? 私じゃ嫌なんですか? そうですよね。」

明らかにチャラそうな見た目ですもんね。私みたいな高嶺の花まで届くはずないですもんね。

その言葉だけは飲み込んで笑顔を作る。

「…なんでもないです。それよりも助けてくださってありがとうございます。ではここで下りるので。」

そう言って彼から離れる。