「……雨の日、デート…ですか?」

「あぁ。この事務所のアイドルと一緒に」

「…はぁ」

 秋のある日。

 私は所長に呼ばれて、会議室に来ていた。

「あくまで疑似だから、よろしく」

「はい」

 あー…風邪ひきそう。




「あくまでも疑似だから」

「うん、分かってる」

「本気でいろいろと、からかわないでくださいね」

「大丈夫だよ、たぶん」

 その菜央さんの一言に、

「何ですかたぶんって?!」

「まぁ、いいじゃない」

 ひらひらと手を振って気をそらす菜央さん。

「そういうことを言われると…ますます嫌な予感が…」

「まぁ、気にしてたら日が暮れちゃうし。さっと始めてパパっと終わらそう」

「……それを全員分受ける私は、どうなるんでしょうか…」

「あぁ、それは…まぁファイト」

「…はい、頑張ります…」

「順番、テキトーでいいって」

「じゃ、僕から」

 と、冬麻さんが言う。

「ほら、行くよ」

「あっ、はい!」