始まりの日から、1ヵ月後…

「今日は、菜央さんだけですか?」

「ことねもでしょ?」

「あ…そうでした」

 私は皆さんとの生活にも慣れてきて、今では愚痴ぐちも言い合える…

 なんて、まだまだそこにはたどり着かないけど…(笑)

「よし、じゃあ行こうか」

「はい」




       * * *




 そして仕事の現場に着くと…

「「よろしくお願いします!」」

 2人一緒に挨拶する。

「あぁ、2人ともよろしくね。って言ってもすぐに終わると思うけど」

 今回の仕事は、スイビー(Swing beatのことだよ!)の新しいCDのカバーになる写真を撮るっていう内容なんだけど…。

「これは…なんですか…?」

 私はスタッフさんに聞いてみる。

「あれ、聞いてなかった?腕にメイクするってこと」

「あ…はい」

「まぁ、とりあえず…」

 そう言ったスタッフさんの声を掻き消すような音が響いた。

「やっ、やめて!俺がくすぐったいの苦手なの、知ってるでしょ?!」

「「え……」」

 私とスタッフさんの反応が揃ってしまった。

「な、菜央さん…」

「あぁ、そうだった…」

 スタッフさんはそう呟くと、私の腕のメイクを落としはじめた。

「あれ?メイクは…」

「菜央くんがあぁだから、ごめんね、無し!」

「はい、分かりました」

 ということで、メイクは無しになった。