あたし、小さい頃から出来が悪くて。

うちの両親って、どっちも教師やってるんだ。それも名門校の。

だから、娘もちゃんと頭が良くないと、お母さん達の名誉に傷がついちゃうでしょ?

でもあたし、どれだけ勉強しても全く成績は上がらなくてさ。中の下。

『七星。何?この点数は。』

『ごめんなさい…』

『なんでこんな簡単な事もできないんだ?』

『ごめんなさい…』

お母さんもお父さんも、テストの度に怒ってばかり。あたしがいるだけで、家の雰囲気がどんよりするくらい。

運動はできたんだけどね。

『運動なんて、中途半端にできるくらいでどうするんだ。アスリートにもなれないくせに。』

だってさ。結局、両親は自分の肩書しか頭になかったってわけ。

それにね、あたしの妹…清華(せいか)って言うんだけど、清華は凄く頭がいいの。

学年ではいつも1番。100点なんて当たり前だし、塾にも行ってなかった。
それに容量もよくて、しっかり者。顔も可愛い。

『お母さん、清華ね、また100点とったんだよ。』

『まあ、清華。偉いわねぇ!』

きっとお母さん達の一番の自慢だっただろうな。
それに引き換えあたしは…

『清華はこんなに優秀なのに、どうしてあんたって子は…。』

清華があたしだったら良かったのに、って何度思っただろう。

高校受験が迫っているのに、志望校はD判定止まりで、親にも見放されちゃった。

結局、レベルを落とそうとしてたら、その話を聞いて見兼ねた叔父さんがあたしを入学させてくれることになったの。