|《絶賛浮気された男》


初めまして。絶賛浮気された男です。
こんな可哀相な男子高校生がいるか?

いるはずがない、と言いたいところだがここにいる。

そう戌井文隆という男。つまり俺だ。

俺は去年同じ弓道部に入っている真由美って子のことがめっちゃ好きでたまらなかった。

弓道部で一番可愛くてまさに俺の天使!!!
みたいに思ってたんだ。

それでお盆が始まる前日、俺は意を決して彼女を花火大会に誘ってみたんだ。

そしたらなんとok。
信じられなくて吐きそうになったよ(笑)

お盆中にずっと告白の練習してたのはいい思い出だよ

好きなアニメのぬいぐるみに好きですなんか言っちゃたりしてはたから見たらマジできもい奴…。

ま、まあみんな同じことやってるよ、ね…?
え、お前だけ? そ、そか…ごめん。


とまあこんな感じで花火大会までずっとドキドキしていたよ。

花火大会当日、俺はばあちゃんに着物を着させてもらい

「キモくないかな。大丈夫かな、気合い入りすぎて引かれないかな」

などとひ弱な発言を連発していたよ。
俺は昔っから豆腐メンタルでね…。

電車の中は全く混んでないのに暑すぎて死にそうだった。
体中の毛穴が全開して細胞が泣いてるくらいに汗が噴き出してきた

真由美に会う前からどっと疲れた。

でもホームに降り改札を抜け、噴水の近くにたたずむ彼女を見たら
疲れなんて吹っ飛んださ。

妖精だもん。可愛すぎワロタ。

彼女が俺を見つけ俺にてを振ってきた。

「文隆くんー!こっちこっち!」

ぱたぱたと腕をふる彼女に思わず見とれた。

「ご、ご、ごめん。またせちゃた??」
焦りながら俺は言った

「ううん!五分くらいだけだから!」
彼女は満面の笑みでそういった。

「じゃあいこっか!なにたべたい??」
俺はウキウキしながら彼女を連れていった。

そこからはほんとに楽しかったよ。真由美が浮気することなんかしらずにね。

花火が打ちあがりだした9時ちょうど。
俺はあのセリフを言おうと決心した。

「あのさ、おれ、真由美のこと好きなんだ。だから付き合ってくれないか」

自分の気持ちをストレートに伝えた。

「ふふ、知ってたよ。私も文隆くんのことすきだからずっと追いかけてたの」

彼女は嬉しそうにそういった。

「じゃあ、おれたち彼氏彼女ってこと??」

「もちろん、当たり前じゃない(笑)」

う、う、うおおおおおおおおおおおおおお
やった!やったぞ!!!

念願の真由美と付き合えたあああ

いいか、こっから先の事を見て笑うなよ。絶対わらうなよ 

~6ヶ月後~

「え、真由美、誰これ?」
俺は顔面がどんどん冷たくなっているような気がした。

「あーごめん。私先輩と付き合ってるの。あんた犬っぽくてめんどくさくなったわ」

笑いながらそういった。

「じゃ、そゆわけなんでえ~。2度と話しかけんなよワンちゃん」
去り際にそういって彼女は俺の前から姿を消した。

えーーーーーと、ドッキリ…。なわけないよな。
あ、早く帰って泣こうか。まだ耐えてくれよ俺。

そこから帰り道何度車にひかれそうになったことか。
家に着くなりすぐさまベットにダイブして泣きまくったわ。

生まれたとき並みにないたんじゃね。知らんけど。

そこからはもう地獄。生き地獄。

テストも順位を落としに落としまくり部活もボロボロ。
なにやってもうまくいかなかった。

あの女と出会うまではな。